学生の声 村田 壱学(大気海洋科学講座 東塚研究室 博士1年)

image_print

村田 壱学(大気海洋科学講座 東塚研究室 博士1年)

 ⼤学院で⼤気や海洋に関する研究をしたいと思っている⽅や、⼤学院で何を研究しようか悩んでいる⽅に向けて何か参考になればと思い執筆しています。

ABOUT

自己紹介

 現在、私は⼤気海洋科学講座の東塚研究室に所属していて、海洋物理学・気候⼒学に関するテーマを研究しています(詳しいことは後で書こうと思います)。
 学部⽣時代は他⼤学で物理学を専攻していました。物理学の中でも、分⼦動⼒学という分野で卒業研究をしていました。研究⼿法もパソコン上でタンパク質を動かすというもので、現在の研究と似ている点も多い気がします。また、地球流体⼒学を学習する際にも数式を扱うことに抵抗がなかったことも研究を始める際には良かったと思います。
 なぜ、物理学から海洋学・気候⼒学へ分野を変えたのかというと、ひとえに、「⽣活の役にたつ研究をしたかった」という点です。我々が普通に⽣活している時に何をするにもその⽇の天気を気にしたりするものだと思います。また、より時間が⻑い時間スケールで⾔えば「今年の夏はいつもより暑い(寒い)」なども多くの⼈の興味の対象であると思います。気象や気候は⼈の⽣活に直結することで、研究をしたいと考えてこの専攻に進学しました。

大学院入試

 ⼤学院⼊試は内部外部の学⽣に関わらず必ず受けなくてはならないものです。このページを読んでいる⽅々に最も興味があることだと思います。とは⾔え、⼤学院⼊試に関する勉強法などは他の⽅がしっかり書いてくださっているので、細かな点はそちらを参考にすると良いと思います。筆記試験において重要な点は2つあります。
 ・学部(教養〜専⾨のはじめ)の時の授業内容の復習、⾒直し
 ・希望する研究室の要望する科⽬の確認
 ⼀つ⽬は多くの⽅が書いている通りの内容です。過去問などを⾒ていただくとわかるように、ものすごく難しい問題ばかりというわけではありません。しっかりと⼤学に⼊学してから学んだことを復習することを意識してください。最も重要な点が⼆つ⽬です。指導教員によっては試験科⽬の指定があります。これを守らないと⼊試でいくらいい点を取っても意味がありません。⼊試を受けると決めた段階で、もう⼀度確認してください。
 英語の試験もあります(私が受けた時はTOEFL ITP)。何点取れれば⼤丈夫とかはブラックボックスなのでわかりませんが、英語⼒は⼤学院に⼊ってからは必要な⼒になるので勉強して損はありません。⾃信のない⽅は、試験⽅式にあった参考書を購⼊して勉強してみると良いでしょう。
 地球惑星科学専攻の⼤学院⼊試において⼀番特徴的なシステムは研究室決定の時期だと思います。多くの⼤学院では研究室を決めてから⼊試を受けますが、本専攻は順番が逆になっています。筆記・⼝頭試問の両⽅で合格したのちに、⼊試の時に書いた⼩論⽂(筆記試験の⽇に書くもの)と⼝頭試問をもとにして、何⼈かの指導教員候補を紹介していただきます。その中から興味のある教員の⽅達にアポイントを取り、⾯接を⾏います。少し⼿順が⾯倒なように感じますが、特に外部から受験する学⽣にとっては、とても良い制度だと思います。よほどやりたいことが決まっている学⽣ではない限り、多くの先⽣からお話を聞き、その研究室の雰囲気や院⽣の⼈と喋ってから考える機会があります。少なくとも2 年はいる環境になるので、研究内容を含めた⾊々な要素を⽐較して考えると良いでしょう。

⼤学院⽣の⽣活

 私の研究は主に「コンピューターで海を⾒ること」です。そのため、研究室ではコアタイムはありません(週2、3 回のセミナーはあります)が、ネット環境があれば研究ができて「しまい」ます。私の性格上、家での作業があまり捗らないので、研究室には⾏っていますが、気分が乗らないとき(⾬が降っていて外に出たくないとか)や家にいなくてはいけない時は家で作業をしたりしています。時間的な制約があまりない研究室であることから、かなり⾃由な⽣活をしていると思います。ただし、実験系の研究室だと、このような⽣活は難しいと思うので、あくまで⼀⼤学院⽣の⽣活として捉えてください。
 また、年に2 回は国内学会があり、⼀つは5 ⽉頃に⾏われるJpGU@幕張メッセで、もう⼀つは9 ⽉か10 ⽉にある秋学会です。学会では他⼤学の様々な研究を知ることができ、多くの⼈と⾊々なお話ができるので、⾮常に楽しいです。これらの学会で発表することを⽬安にしながら研究を頑張っています。

研究内容

 最後に、私の研究内容について簡単に紹介したいと思います。⾃⼰紹介の時に書きましたが、私の興味は「気象や気候」ですが、私の研究内容は「海洋物理学、気候⼒学」です。実は、気候⼒学というのは「海の変動を考える」分野といえます。海は⼤気の重要なエネルギーソースのひとつであり、その変動が⼤気にもたらすインパクトは⼤きなものになります(例えば、エルニーニョ、ラニーニャなどは気候変動の例で、⾚道太平洋の海⾯⽔温偏差の2 年規模くらいの変動が世界各所の気候に多⼤な影響を及ぼしていることが知られています)。そういった点で、「気候を考える=海を考える」と考えることもできるかもしれません(⾔い切ってしまうと怒られてしまいそうなので・・・)。
 私の研究は北太平洋における「海洋再出現過程(英語ではReemergence)」という現象に焦点を当てています。「海洋再出現過程」とは、図1のような図で表されます。この図では、「ある冬季にできた海⾯⽔温の偏差が、季節が経つと混合層厚の下に沈み込み、次の混合層厚の深くなる季節にまた海⾯に現れる」という1年くらいの時間スケールを持つ現象を表しています。北太平洋ではPacific Decadal Oscillation (PDO、 太平洋⼗年規模振動)と呼ばれる⻑期の⼤気、海洋の変動パターンがありますが、その発⽣メカニズムは未だに明らかになっていません。「海洋再出現過程」は、海⾯⽔温を⻑期にわたって維持する機構なので、中緯度の⻑期変動発⽣メカニズムの⼀つであると考えられています。

図1 海洋再出現過程を表した簡易図。MLD とは、「混合層厚(Mixed Layer Depth)」を表していて、密度(、⽔温、塩分)が海⾯から⼀定の層で、⼀般に冬には厚く、夏には薄いという性質がある。⼤気は混合層の中の海⽔にのみ影響を表していて、混合層から下の海⽔は⼤気から隔離される。

最後に

 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。私の「学⽣の声」が本専攻、講座に興味を持っている⽅々に参考になると嬉しいです。地球惑星科学専攻では⼤体6 ⽉ごろに⼤学院⼊試ガイダンスを⾏なっているので、興味がある⽅は参加することをお勧めします。

ABOUT
閉じる