雲粒の成長過程に量子計算を適用 ―複雑な確率分布の効率的な計算に向けた新たなアプローチ―
プレスリリース
上野 和雅 博士課程学生、三浦 裕亮 准教授
発表のポイント
- 雲の中の水滴(雲粒)が確率的に成長する過程に量子計算を適用し、古典的な直接計算と比較して、問題規模の増大に伴う計算コストの増加を抑えられる可能性を示しました。
- 量子計算の応用研究が極めて限られている気象学の分野において、雲粒の確率的な成長という具体的な問題に量子計算を適用する新たなアプローチを提示しました。
- 本研究を足がかりとして、雲粒の成長過程だけでなく、乱流などに現れる複雑な確率過程へと量子計算の応用が広がることが期待されます。

雲粒の衝突・併合によって変化する雲粒分布の確率を、量子ビットを用いて表現し、量子ゲートを組み合わせた量子回路(右・模式図)を用いて計算する。
概要
東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻の上野和雅大学院生(博士課程)と、三浦裕亮准教授は、雲の中の水滴(雲粒)が衝突・合体しながら成長する過程に量子計算を適用し、その有効性を検討しました。雲粒の成長は確率的な現象であり、詳細に記述するには、さまざまな雲粒分布が生じる確率を扱う必要があります。しかし、これらの確率をすべての実現可能な雲粒分布について計算しようとすると、問題規模とともに計算コストが急増します。本研究では、この計算に量子計算を適用することで、計算コストの増加をより緩やかにできる可能性を示しました。本研究を足がかりとして、雲粒の成長過程の計算に限らず、乱流など計算が困難な気象学の問題への量子計算の応用が広がることが期待されます。
詳細については、以下をご参照ください。
理学系研究科web:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/11284/






