NASAが次世代遠赤外線宇宙望遠鏡「PRIMA」を選抜、日本の取り組みも新たな段階へ ― 宇宙の塵に隠された、惑星・星・銀河の誕生と成長の謎を解き明かす ―

プレスリリース
野津翔太 助教、橘省吾 教授、瀧川晶 准教授、榎本華子 博士課程学生 他

概要

PRIMA(PRobe far-Infrared Mission for Astrophysics)は、遠赤外線を使って宇宙を調べるNASAの口径1.8 mの遠赤外線宇宙望遠鏡計画です。遠赤外線は、人の目に見える光よりも波長が長く、温度の低い宇宙の塵やガスを調べるのに適しています。一方、地球の大気に遮られやすいため、宇宙から観測することで、これまで詳しく見ることが難しかった天体や物質を調べることができるようになります。

日本では、2023年6月からPRIMAに関する組織的な活動が始まりました。2024年12月には、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)のワーキンググループが発足し、国内の研究者が科学面と技術面の検討を進めるとともに、PRIMAのさまざまな研究活動に参加してきました。

これまでのPhase Aでは、ミッションの基本的な構想を具体化し、必要な技術や設計について検討が進められてきました。他のミッションとの競争的な選考を経て進んだ Phase B では、これまでの検討をもとに、望遠鏡の初期設計や必要な技術の開発をさらに進めます。こういった活動を確実に積み重ねることで、打ち上げ、および、科学観測を実現していきます。今後は、日本の正式参加に向けた国内での審査や手続きが進められます。

PRIMAでは、主に次のことを明らかにしようとしています。
・惑星や、その周りを覆う大気は、どのようにできるのか。
・銀河と、その中心にある巨大ブラックホールは、どのように一緒に成長してきたのか。
・惑星や生命の材料となる元素や宇宙の塵は、宇宙の歴史の中でどのように増えてきたのか。

宇宙の塵は、若い星から出る光を遮るため、通常の光では塵の向こう側を見ることができません。
一方、塵は吸収したエネルギーを遠赤外線として放ちます。PRIMAはその遠赤外線を捉え、塵に隠れた星が生まれる場所や、温度の低いガスや物質を調べます。惑星形成については、惑星の材料となる物質の量や、水が気体から氷に変わる境界である「スノーライン」の分布を調べ、惑星がどのように形づくられるのかを明らかにします。また、銀河とブラックホールの成長を同時に調査することで、宇宙での星形成史の全貌を明らかにします。こうした観測を通して、惑星や星、銀河がどのように生まれ、成長してきたのかを明らかにするとともに、惑星や生命の材料が宇宙の中でどのようにつくられ、広がってきたのか、その起源に迫ることを目指します。

東京大学大学院理学系研究科からも、多数の研究者・大学院生が日本のPRIMA参加の可能性に向けた科学・技術検討活動に参画しています。2025年11月に公開されたPRIMAの観測で取り組む多様な研究テーマをまとめた資料(科学白書)の執筆には、東京大学大学院理学系研究科から地球惑星科学専攻の野津翔太助教・橘省吾教授・瀧川晶准教授・榎本華子大学院生、天文学専攻の尾中敬名誉教授、相川祐理教授、田中匠大学院生らが協力しました。
また野津翔太助教は、日本の天文学コミュニティにおけるPRIMAサイエンス活動の活性化を推進する活動の取りまとめを担当しています。

PRIMA遠赤外線宇宙望遠鏡の想像図
PRIMA遠赤外線宇宙望遠鏡の想像図
Courtesy NASA/JPL-Caltech

詳細については、以下をご参照ください。
理学系研究科web:https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/11285/
広島大学web:https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/101120

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