【学生の声2022】研究生活における学内外の繋がり
2022年度「学生の声」
佐藤 優花(大気海洋科学講座 修士2年)
外部から進学したいが、大学院はどういう雰囲気なのだろう?
内部から進学するが、大学院でどういう活動をしているか分からない、という方たちへ。
1. はじめに
私が、外部から東大に進学した2年間で経験した研究生活のうち、他キャンパスや他の大学(海外交流含)との交流に焦点をあてて記します。参考になったら嬉しいです。
主な機会は、以下の通りです。(時系列順)
①自主ゼミ
②授業
③夏の学校
④学会
⑤GCMセミナー
⑥ミニワークショップ
2. 研究生活と交流ーゼミ・授業ー
① 自主ゼミ
東京大学大学院に入学する2ヶ月ほど前に、たまたま知り合いに紹介してもらい、当時学部2年・3年の方たちの自主ゼミの会に混ぜていただきました。4月にかけて『総観気象学』という本を読みましたが、勉強になるとともに、東大地惑学部生の雰囲気を知る機会となりました。
外部から入学する方のうち、気象学を専門としてこなかった方には、『一般気象学』(東京大学出版会)を読んだ上で、『総観気象学』(気象庁)を読むのをお勧めします。入学前後に仲間を見つけて、読んでみてください。
② 授業
コロナ2019の影響を受け、M1前期の授業は完全にオンラインとなり、ほとんど交流はありませんでした。しかし、後期から対面授業が徐々に始まり、顔を合わせるうちに、少しずつ雑談する機会に恵まれました。(話しかけてくれた同期に感謝!!)柏キャンパスや駒場キャンパスの同期たちが同じ授業を受けていたため、ここで他のキャンパスの同期の存在を認識することができました。
また、その後、同期同士で研究の意見交換をしたいという意向から、同期の有志10名ほどで”ゆるミーティング”という場ができました。M2の前期中に、週に1回ほどオンラインで集まり、互いに発表・議論しました。同期同士ということで質問がしやすく、良い議論の場になりました。1研究室に2名までしか配属できないために、研究室に同期が多くても1人という状況になるので、他の研究室の進捗を知ることは、ペースを作る上で良い指針となりました。
3. 研究生活と交流ーセミナー・学会等ー
③ 気象夏の学校
気象夏の学校は、毎年夏に開催される、若手の気象研究者のためのセミナーです。2022年は、福岡で3日間、対面で開催されました。(2021年はオンライン開催)
他の大学で気象を研究する方たちとの良い交流の場となりました。特に、私の研究対象は、東大内で他に研究している学生がいなかったため、他の大学の学生と議論することができたことは、修論の研究を進める上でとても貴重でした。
また、夏の学校をきっかけに、同じ研究対象同士で、オンラインの勉強会をするようになりました。同じ研究対象について違う角度からアプローチしている研究の話は、自分の視野を広げるきっかけとなりました。他の方の研究発表を聞くと、自分が読むべき論文が見つかったのも良かったです。
④ 学会
大気科学の分野では、多くの人が日本気象学会の春季大会・秋季大会とJpGUに参加します。
2022年の日本気象学会秋季大会は、北海道大学で開催されました。夏の学校で、他の大学の同期と交流を深められていたおかげで、2021年の大会と比較して顔見知りが多い状態となりました。
また、対面での発表であったため、発表後に興味を持った方が話しかけてくださり、少し議論することができました。私自身も、夏の学校で知り合った方の発表を聞き、その後、会って質問することができました。
気象学会があると、概ね若手会という、若手気象研究者の集いが開催されます。それも、他の大学の方と交流できる良い機会です。
⑤ GCMセミナー
大気海洋大循環モデルの構成要素や基本的な考え方についての教養を身につけることを目的とした合同セミナー、GCMセミナーというものがあります。
GCMセミナーには、駒場・本郷・柏キャンパスの大気海洋科学に関する研究室の学生が主に参加しており、数値シミュレーションに関連する研究をする学生が主体となって勉強しています。概ね2週に1回ほどあります。
また、毎年あるものではありませんが、2022年は夏と冬に合宿があり、夏はモデルについての勉強会を、冬は眞鍋先生の論文の輪読をしました。同期だけでなく先輩や後輩と交流する機会でした。
写真は冬の合宿をした際の集合写真です。B4-D3まで集まりました。
⑥ ミニワークショップ@台湾
M2の3月、国立台湾大学で大気科学を専門とする研究室とミニワークショップを行いました。海外での研究発表は私にとって初めてでした。
台湾大学の方たちの研究は、どれも面白く、刺激を受けました。また、自分の研究について、違う角度からのコメントをいただき、学びの多いワークショップとなりました。
また、台湾大学の方たちは、とても歓迎してくださり、キャンパスを一緒に見て回ったり、研究に使用している観測機器について紹介してくださったりしました。台湾の文化に触れる機会となったのは、国際交流ならではでした。台湾の中でも気象の分野の学生は特に日本に関心のある方が多いようで、一緒に食事をする際も、日本語のことや日本の観光地について話をする場面が多くありました。
写真は、建物の名前に驚いて撮ったものです。日本語で「人工気候室」と言われると、気候をコントロールしているのかなと想像しそうですが、農業用の温室などの研究をしているところだそうです。2枚目の写真は、大気科学の研究室の建物の入り口にあった看板です。
4. 最後に
これまで挙げたように、研究室内だけでなく、他のキャンパスや他の大学との交流の機会が多くありました。参加をすると、ほとんどの場合発表を伴います。発表の機会が多いのは、発表準備に時間を割くことになり、大変なこともありますが、その分得られるものも多いので、ぜひ積極的に学内外のセミナー・イベントに参加してみてください。
私は、それにより、研究を進めるための良い刺激を受けたり、違う視点からのコメントをもらったりしたため、充実した研究生活を送ることができました。
こういった活動について、まとめているものは少ないと思うので、これからの学生生活が想像しやすくなれば幸いです。
佐藤 優花(大気海洋科学講座 三浦研 修士2年)
[2023.03公開/2022年度「学生の声」]