【学生の声2021】地球惑星科学専攻進学体験記

2021年度「学生の声」
石﨑 梨理(地球惑星システム科学講座 修士1年)

私は、東京大学理学部地球惑星物理学科から地球惑星科学専攻地球惑星システム科学講座に進学しました。今回は、進学を考えている方々の参考になるような、院試勉強や進学後の生活についてご紹介しようと思います。

自己紹介

前述の通り、私は本専攻直下の地球惑星物理学科に所属していました。特別研究(学部4年)のテーマは「光蒸発と粘性散逸を考慮した円盤ガスの散逸」です。大学院でもその辺りの研究がしたいという漠然とした考えはありましたが、具体的な展望はありませんでした。それから、大学院入試の口述試験や研究室面談等を経て、現在の「実験及び地球外物質から得た制約を取り入れた原始太陽系円盤の円盤パラメータの制約」という研究テーマに至りました。

図1 原始惑星系円盤における、あるダスト粒子の鉛直運動

図1 原始惑星系円盤における、あるダスト粒子の鉛直運動
図2 ダスト粒子の結晶化に要する時間
図2 ダスト粒子の結晶化に要する時間

院試について

筆記試験

筆記試験の問題の難易度自体は高くはなく、基本ができていれば解けるものがほとんどだと思います。しかし、基本と言えど漏れなく理解するのは簡単なことではありません。

そこでお勧めするのは、とにかく早めに過去問に目を通しておくことです。本番形式で解くために過去問を見ることを後にとっておくのも大切ですが、最低でも2年分は最初に見ておくと良いと思います。
私は満遍なく基礎を固めてから初めて過去問を解いたのですが、特徴的な出題が多く面食らいました。やはり、基礎の中でも現在の地球惑星科学専攻の研究活動に関連する分野が選択されているのでしょう。広く勉強したことは進学後に役立っていますが、院試の出題傾向を把握する対策も早めに取り掛かることを推奨します。

英語に関してはTOEFLのテキストを数冊買って勉強していたところ、コロナ禍の配慮で急遽英作文に変更になりました。あの勉強が無駄だったとは思いませんが、悲しかったです。
英作文のテーマは選択式で、専門的な内容でもなく難易度は低めでした。ただし、解答時間に余裕はなく、作文案のメモもそこそこに書き始め、見直す間も無く終了してしまいました。
私は英語が比較的得意なので、指定単語数を満たすことができましたが、友達と話したところ、時間内に作文完成まで間に合わなかった人も多かったようです。

口述試験

私は地球惑星システム科学講座と宇宙惑星科学講座のふたつの講座に合格したので、口述試験を2回受けました。コロナ禍でオンライン面接という異例の事態だったので、例年の流れや雰囲気とは異なる部分もあるかもしれません。以下、経験に基づくアドバイスを書いておきます。

口述試験は、大勢(20名程度?)の先生方対自分1人という状況です。緊張するのは仕方ありませんが、できる限りリラックスした心持ちで臨めると良いでしょう。
先生方は意地悪で質問してくるのではなく、受験生の興味や強みを引き出そうと質問をします。それを理解していれば、緊張せずに自然体で話せると思います。

対策として有効なのは、自分の中にあるものを口述試験中に最大限出し尽くせるよう、頭の中を整理しておくことです。興味のある研究分野や手法について、なるべく具体的に考えておくと良いと思います。先生方も学部4年生が完璧な研究計画を立てているなどとは思っていませんから、決めていないことは「これから考える」で良いのです。
ただし、全部それではやる気のない学生と思われてしまうかもしれません。しかし、自分なりのこだわりは、面接中にきちんと主張することをお勧めします。
加えて、筆記試験で間違えた箇所は必ず確認しておきましょう。筆記試験の手応えについてなどは、口述試験中に質問される場合があるので、なぜ間違えたのか、どうすればよかったのかを説明できるようにしておくと良いと思います。

院生生活について

学部時代の生活はそれなりに自由でしたが、大学院ではさらに自由になりました。
必要な授業単位数はそれほど多くはなく、週に1回研究室ミーティング(簡単な進捗報告、輪講、研究発表)があるだけで、あとは自分のペースで研究を進めるのみです。私が取り組んでいるシミュレーションの研究はPCさえあればできるので、院生控室の机でも自宅でも好きな場所で作業を進めることができます。
ただし自由というのは自己責任の裏返しでもあり、サボっているとあっという間に周りに置いていかれ(る気がし)ます。個人的には、その緊張感も含めて楽しい研究生活です。

大学院に進学してから半年程しか経っていませんが、研究は今までの勉強とは異なり、「できる/できない」ではなく「やる/やらない」の選択だと感じています。
わからないことは時間をかけて調べれば良いだけですし、先生や先輩、友達も助けてくれます。ですから、知識やスキルの不足を不安に思って進学を迷う人がいるのならば、その心配はないです。研究をやりたい気持ち、やろうという決心さえあればやっていけます。
逆に言うと、その気持ちがなくなるのは致命的なので、思い詰めず楽しく研究生活を続けるのが一番大切なのかもしれません。

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございました。
私は地球惑星科学専攻での生活を気に入っています。この文章を読んでくださった学生の皆さんも、自分に合った進学先を見つけられるよう願っています。

石﨑 梨理(地球惑星システム科学講座 修士1年)
[2022.03公開/2021年度「学生の声」]

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