【学生の声2019】他大学から東京大学大学院への進学

2019年度「学生の声」
小澤 麻由子(地球惑星システム科学講座 博士2年)

初めまして、地球惑星システム講座博士課程2年の小澤と申します。大学院進学(特に他大学からの進学)を考えている方に向けて、こちらに私の経験などを書かせていただきます。

学部生時代から大学院進学まで

私は、学部生の時は、東京理科大学理学部物理学科に通っていました。
学部生の頃から惑星科学や天文学、またそれらの研究の手法としてよく使われる計算科学に興味があり、学部4年生ではX線天文学の研究室に所属し、卒業研究を見ていただきました。
大学院で研究したいことを考えた際に、太陽系惑星の形成の分野に携わりたいという思いがあったため、東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻への進学を決めました。

院試

地球惑星科学専攻の院試の内容は、大きく分けて専門科目、英語、小論文、面接があります。
専門科目の試験は数学2題、物理2題を選択したはずです。こちらの教科は学部1、2年生で習った基本的な内容の問題が出題されることが多かったです。
私は、まずは傾向を把握するために専攻のホームページにある過去問数年分を解き、忘れている分野や苦手な分野は学部生の頃に使った参考書を使って復習をしました。その後、過去問を解き進めたり一回解いたものを復習したりしました。

英語の試験はTOEFL-ITPだったので、模擬試験が数回分収録されている参考書を購入し、形式に慣れるようにしました。小論文は、自分が今までしてきた研究やこれからしたい研究のことをテーマに沿って事前に書いてまとめておきました。面接は小論文で書いた内容を元に質問されました。

私が院試の対策を始めたのは4年生の春頃だったような気がしますが、周囲を見ると3年のうちから自主ゼミを催して過去問の答え合わせをしている人や、過去問を早く解き終わってしまうと形式を忘れてしまうからと8月の院試の記述試験ギリギリに解き終わるように調整していた人もいるので、人によって千差万別だと思います。

研究室訪問

研究室訪問は、院試の前と地球惑星科学専攻に合格した後に所属研究室を決めるための計2回行う人が多かったと思います。
院試の小論文や面接の際に自分の興味のある分野について考えをまとめておく必要があるので、院試前の研究室訪問では、その研究室が取り扱っている分野についてや具体的な研究内容について詳しく聞いてみるといいと思います。
更に、その研究室の特色や雰囲気が自分に合っているかどうか判断するためにも、その研究室の学生さんともお話しする機会を持てるといいと思います。

大学院での学生生活

大学院に入学すると、新しい環境での新しい勉強が始まりました。入学してすぐの間は、授業、研究室のセミナー、輪読に参加して知識を付けつつ、新しい環境に慣れるのが仕事だよ、と先輩に励まされた記憶があります。
環境に慣れると、指導教官の先生と一緒に論文を読み、自分の興味がある分野を深掘りして研究テーマを決める作業に入ります。

研究テーマを決める過程でその分野ではどのような問題があり、過去どのように研究されてきたか、その問題を解決することの科学的な意義は何か、問題解決のためにどのようにアプローチするか、などといったたくさんの事項を考えるのでとても骨が折れると思いますが、一度決めた研究テーマとは長く付き合うことになるので、この作業も根気よく取り組んで下さい。

研究内容について

私の研究では天王星・海王星の形成を取り扱っています。近年、観測技術の発達により太陽系外に多くの惑星(系外惑星と呼ばれています)が見つかっています。主星から離れた場所にある系外惑星は海王星質量のものが多いと観測・理論の研究から示唆されているので、天王星・海王星の形成過程について理解を深めることはそのような系外惑星の起源の解明のためにも重要であると考えられています。
私は、N体計算という手法を用いて天王星・海王星の固体コアの集積について理論的に研究しています。N体計算とは、天体の重力相互作用を逐次的に計算することで系の発展を追う計算科学の手法の一つです。

最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。
この文章が、地球惑星科学専攻に進学したいと考えている皆様に少しでも参考になれば幸いです。

小澤 麻由子(地球惑星システム科学講座 博士2年)
[2020.02公開/2019年度「学生の声」]

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