「はやぶさ2」サンプル収納コンテナの外に小惑星リュウグウ粒子を発見!
共同プレスリリース
橘 省吾教授、稲田 栞里(地球惑星環境学科4年)、吉田 英人特任専門職員
発表のポイント
- 小惑星リュウグウから約5グラムの試料を持ち帰った「はやぶさ2」のサンプル収納コンテナの外部、蓋とコンテナ本体の隙間に、約1ミリメートルの黒色の2粒子を発見。
- コンテナ開封前に発見された、これらの未知粒子は、その後の鉱物学的・岩石学的研究により、小惑星リュウグウ粒子であることが判明。地上の類似隕石でないことも確認。
- サンプル格納チャンバーから飛び出した粒子が、蓋とコンテナ本体に挟まれ、地球に帰還したものと考えられ、将来ミッションのサンプル採取機構設計にも活かせる新たな知見。
概要
小惑星探査機「はやぶさ2(注1)」が持ち帰った小惑星リュウグウ(注2)のサンプルはミッションの成功基準 0.1グラムを大きく上回る、およそ5グラムでした。東京大学大学院理学系研究科の橘教授ら「はやぶさ2」サンプラー(注3)チーム、宇宙科学研究所地球外物質分析グループを中心とする研究グループは、2020年12月にサンプルが収納されていたコンテナ(サンプル収納コンテナ(注4))を開封する直前に、コンテナの蓋とコンテナ本体の間の隙間に発見された黒色の2粒子の組織観察や構成鉱物の元素分析をおこない、これらの粒子が小惑星リュウグウ由来であることを明らかにしました。地上ですでに発見されているリュウグウに類似した隕石ではないことも確認されました。これらの粒子は「はやぶさ2」がサンプル収納コンテナを密封する前に、宇宙空間で外に飛び出し、コンテナ蓋とコンテナ本体の間に挟まれたまま、地上に帰還した粒子であると考えられます。これらの粒子の存在は、コンテナの密封性能に影響を与える可能性もあり、今後のサンプルリターンミッションにおけるサンプル収納機構の設計にも活かすことのできる新しい知見です。
用語解説
注1 はやぶさ2
小惑星リュウグウの近傍探査、2回の着地によるサンプル採取、地球へのサンプル帰還を成功させたJAXAの探査機。
注2 小惑星リュウグウ
近地球軌道をもつC型小惑星。直径約1キロメートルでそろばん玉のような形状をもつ。多くの岩塊が集積した瓦礫(ラブルパイル)天体と考えられる。
注3 サンプラー
「はやぶさ2」に搭載されたサンプル採取機構の名称。約1メートルの筒状構造(サンプラーホーン)が小惑星表面に接地したタイミングで、ホーン内部で弾丸を発射し、地表から舞い上がったサンプルを収納する機構。
注4 サンプル収納コンテナ
回収されたリュウグウ試料を密封して、地球に持ち帰るための容器。再突入カプセル内にコンテナ本体は収納されていた。
詳細については、以下をご参照ください。