炭素質小惑星リュウグウの形成と進化:リターンサンプルから得た証拠

共同プレスリリース
橘 省吾教授、高橋 嘉夫教授、瀧川 晶准教授、佐藤 雅彦助教、杉田 精司教授、諸田 智克准教授、長 勇一郎助教、西山 学(博士課程2年)、河合 敬宏(博士課程1年)、吉田 英人特任専門職員

概要

小惑星探査機「はやぶさ2」により2020年12月6日に地球へ帰還したリュウグウ試料は、JAXA宇宙科学研究所に設置された施設において、初期記載(Phase-1キュレーション)が行われました。試料の一部が、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」と2つの「Phase-2キュレーション機関」へ分配されました。初期分析チームは「はやぶさ2」の科学目的達成のために専門サブチームが分担して、計画された高精度分析により、試料の多面的価値を明らかにします。Phase-2キュレーション機関はそれぞれの特徴である“総合分析”に基づき、個々の「はやぶさ2粒子」カタログを作成すると同時に、粒子の特性に応じた測定・分析により、「はやぶさ2粒子」がもつ潜在的価値を明らかにしていきます。

東北大学理学研究科中村智樹教授らの研究グループは、小惑星探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウのサンプル(探査機が回収した3番目に大きなサンプル(図1)を含む17粒子)を日米欧の放射光施設5か所、ミュオン施設などを利用し宇宙化学的・物理学的手法による解析を行いました。その結果、リュウグウの形成から衝突破壊までの歴史(太陽系内での形成とその位置、天体材料物質の情報、含まれていた氷の種類、天体表層および内部での水との反応による化学進化、天体衝突の影響など)が判明した。また、リュウグウサンプルには、衝突破壊前の母天体の表層付近の物質と天体内部の物質が混在していることが判明しました。さらに、リュウグウサンプルの硬さ、熱の伝わり方、比熱、密度などを実測し、この実測値を使って、リュウグウ母天体形成後の天体内部の加熱による温度変化、および衝突破壊プロセスの数値シミュレーションを行い、リュウグウの形成進化をコンピュータ上で再現しました。

炭素質小惑星リュウグウの形成と進化:リターンサンプルから得た証拠
図:リュウグウサンプルの分析結果から推定されるリュウグウの形成進化プロセス。天体の温度分布や年代、衝突破壊のプロセスは数値シミュレーションで求めた。

詳細については、以下をご参照ください。

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