JAXA「月面でのレゴリス調査ミッション」に参画 -国土交通省・宇宙開発利用加速化戦略プログラム「宇宙無人建設革新技術開発」とも連携-
プレスリリース
諸田 智克(地球惑星科学専攻 准教授)
発表概要
立命館大学(所在地:京都市中京区、学長:仲谷善雄)、慶應義塾大学(所在地:東京都港区、塾長:伊藤公平)、東京大学(所在地:東京都文京区、学長:藤井輝夫)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施代表者を務める「月面における球体落下試験によるレゴリス表層の機械特性計測実験(以下、「RISEミッション」※)」に、共同研究者として参画します。ミッションの計測装置は米国Intuitive Machines社の月着陸船Nova-C級ランダー(2027年第3四半期中に打ち上げ予定)に搭載され、月面着陸後にRISEミッションが実施されます。本ミッションは、「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)の一環として進められている国土交通省の「宇宙無人建設革新技術開発」(略称「宇宙建設革新プロジェクト」)と連携して実施されます。※RISE(Regolith Impact Stiffness Experiment with Orb Drops on Lunar Surface)
各国宇宙機関が共同参画している国際宇宙探査協働グループや米国が主導するアルテミス計画において、人類が再び月を目指し月面拠点を構築していくことが想定されています。月の表面は「レゴリス」と呼ばれる、細かい砂や砕けた岩石の層に覆われています。これは、数十億年にわたる微小天体の衝突や昼夜の温度差による熱疲労によって作られたもので、地球の土とは大きく異なります。アポロ計画で持ち帰られた月のサンプルによって得られたデータはありますが、将来の月面拠点構築に向けて送り込まれる月着陸船、月面作業機の挙動解析や月面居住モジュールの設置などの月面活動を安全に進めるには、月面環境でのさらなる調査が必要です。特に、レゴリスの硬さや強さに関する機械特性(土質力学特性)は、月面使用する機械の動きや作業を正確に予測するために欠かせない重要な情報であることから、RISEミッションでは、月着陸船に超小型の土質調査装置を搭載し、レゴリス表層の機械特性を調べることを目的としています。
RISEミッションでは、IM-4ミッション着陸機に搭載された地盤調査装置から、加速度計を内蔵した球体を月面に向けて放ち、「レゴリス」と衝突する際の球体の挙動を計測します。球体内部で計測される加速度応答を分析することで、月の表面がどのくらい硬いのか、どれくらいの圧縮性を持っているのかといった、月レゴリスの機械的な特性を調べます。この調査結果から建設機械や月面建造物などの設計条件設定や評価が可能となり、高精度なシミュレータの構築が可能となり、今後の月面拠点の構築に大きく貢献します(図参照、画像提供:JAXA)。
なお、本研究には、地球惑星科学専攻の諸田智克准教授が参加しています。

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