日本の“火山活動の最盛期”の起源を解明

プレスリリース
諸星 暁之(地球惑星科学専攻 大学院生)

発表概要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質情報研究部門 山岡健 研究員、佐藤大介 主任研究員、三國和音 研究員、および東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 諸星暁之 大学院生による研究チームは、日本列島と朝鮮半島に分布する火成岩に含まれる元素の同位体組成から、白亜紀~古第三紀の日本列島におけるイグニンブライト・フレアアップの発生要因を解明しました。

イグニンブライト・フレアアップは、大規模なカルデラ形成噴火が、同じ地域の中で地質学的に短期間のうちに集中して発生する現象を指します。この現象は過去に世界各地で確認され、日本列島では白亜紀後期から古第三紀初頭(約9000万年前から約6000万年前)にかけて発生したことが知られています。大規模なカルデラ形成噴火の頻発は地球表層環境に大きな影響を及ぼしうる現象ですが、その発生要因は諸説あり、明確には解明されていません。

今回、日本列島と朝鮮半島に分布する白亜紀から古第三紀にかけての火成岩に含まれるストロンチウム(Sr)とネオジム(Nd)の同位体組成について、これまでに報告された多数の研究結果を統合・整理して、マグマの同位体組成が約1億年前を境に急激に変化したことを明らかにしました。また、関連するマグマの化学組成の時間変化と、当時の岩石の形成場がどのように対応するのかを調べました。

その結果、日本におけるイグニンブライト・フレアアップは、その直前に、熱いマントルが大陸プレートの下底部に流入してきたことで発生したことが示されました。この熱いマントルの流入は、大陸プレートの底に広がっていた古い海洋プレートの端がマントル側にめくれるように変形する「スラブ・ロールバック」の影響が日本に到達したことによって引き起こされたと考えられます。この結果を踏まえ、環太平洋地域をはじめとする世界各地で発生したイグニンブライト・フレアアップの発生原因の解明が期待されます。

なお、この研究の詳細は、2025年9月2日に「Progress in Earth and Planetary Science」に掲載されました。

日本での白亜紀〜古第三紀「イグニンブライト・フレアアップ」の発生の仕組み
図:日本での白亜紀〜古第三紀「イグニンブライト・フレアアップ」の発生の仕組み

詳細については、以下をご参照ください。

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