火星帰還試料の簡易生命検出法の開発に成功 —— 火星生命から地球生態系を保護する切り札に——

プレスリリース
鈴木 庸平(地球惑星科学専攻 准教授)

発表のポイント

  • 火星からの帰還が予定される岩石と化学組成が類似した地球の岩石から、微生物を検出する簡便な手法の開発に成功した。
  • 試料の破壊を伴う高度な分析手法と比べて、試料を損傷しない赤外線を岩石に照射するだけの簡便な手法で生命検出が可能となった。
  • 帰還した試料に火星生命が含まれていた場合、生命検出能力を飛躍的に高めることで、地球外生命の発見と共に、地球生態系を守る惑星保護に貢献すると期待される。
赤外線で火星生命を簡易に検出
赤外線で火星生命を簡易に検出

発表概要

東京大学大学院理学系研究科の鈴木庸平准教授による研究グループと、国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)火星帰還試料安全評価プロトコル策定作業部会(SSAP)の委員は、2022年に同作業部会が公開した安全評価体系の改良を行ってきた。改良の理由として、岩石と水が接触した部位から火星生命の痕跡が検出される可能性が極めて高いが、粘土の生成により生命痕跡のシグナルの取得が妨害される問題があげられるためだ。そこで、同准教授の研究グループが微生物の生息を発見した地球上の玄武岩中の粘土を含む部位を用いて、さまざまな分析手法を試験した。その結果、赤外線の照射により、粘土と微生物の同時検出に成功した(図1)。今後、火星帰還試料に類似した地球の岩石で分析法の適用性を評価することで、火星生命検出技術が飛躍的に向上すると期待される。

図1:岩石試料の分析点と得られた赤外線スペクトル
粘土と微生物細胞を含む部位の写真と分析点(上)、たんぱく質と粘土由来のピークを含む赤外線スペクトル(下)。比較したのは培養した微生物と粘土の標準物質。

詳細については、以下をご参照ください。

  • URLをコピーしました!
学生の声/Student Life
パンフレット/pamphlet
理学部ニュースバナー
ウェブマガジン/WEB MAGAZINE
リガクルバナー
サイエンスギャラリーバナー