20億年前の岩石内部に生きた微生物を発見—粘土で詰まる隙間に高密度で生息—

プレスリリース
鈴木 庸平(地球惑星科学専攻 准教授)

発表のポイント

  • 南アフリカの地下に広がる20億年前の地層から、生きている微生物を採取することに成功した。
  • これまで生きた微生物が見つかった最も古い地層の記録を、1億年前から20億年前まで一気に遡る成果である。
  • 20億年間安定な岩石内部で微生物が進化してなければ、地球の生命の起源や初期進化に迫ると期待される。
20億年間続く微生物の楽園
20億年間続く微生物の楽園

発表概要

東京大学大学院理学系研究科の鈴木庸平准教授と株式会社日本サーマルコンサルティングによる研究グループは、南アフリカの20億年前に形成した地層を掘削した試料の薄片を観察した(図1)。その結果、岩の内部の亀裂付近を中心に多数のDNAを含んだ微生物の細胞を確認した。さらに赤外分光法を用いて分析したところ、微生物の細胞からはたんぱく質も検出され、微生物が岩の中で生きていることを確認した。微生物が見つかった亀裂付近の隙間は、粘土で詰まっており、掘削時に地上の微生物が入り込めないこと、逆に隙間の微生物は外部に移動しづらいことも判明した。

掘削が行われた地層は20億年前から現在にいたるまで安定しており、原始的な微生物の生存に有利な状態が継続してきた可能性が高い。これまでに生きた微生物の見つかった最も古い地層は、海底下の1億年前の堆積物であり、本研究はその記録を大幅に更新する成果となる。

今後、ゲノム解析で微生物の進化が明らかになれば、地球の生命の起源や初期進化に迫る生命情報が得られると期待される。

岩石試料の観察結果
図1:岩石試料の観察結果
岩石コア試料から作成された薄片(左上)、赤外分光法により明らかとなったたんぱく質の細脈状の分布(左下の紫色の領域)、
DNA染色により緑色に発色する微生物細胞(右)。

詳細については、以下をご参照ください。

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