リュウグウ上で最も始原的な岩石を発見

共同プレスリリース
杉田 精司教授、橘 省吾教授、諸田 智克准教授、長 勇一郎助教、湯本 航生(博士課程1年)

概要

「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへの接近運用中に取得された中間赤外カメラ(TIR)および光学航法カメラ (ONC)の高解像度画像の解析から、水に浮くほど軽い超高空隙率の岩塊が発見されました。

リュウグウは初期の太陽系内でダストが集まったフワフワとした微惑星と呼ばれる天体が熱進化・圧縮等を経て、その後の衝突で壊された物質が再集積した天体だと思われています。一方で、微惑星はまだ誰も見たことがなく、本当に存在したのか、どのような姿であったかは惑星形成過程の最大の課題の一つです。

今回の研究で発見した岩塊は、太陽系内の惑星誕生のきっかけとなった微惑星の姿を最も色濃く残している物質であると考えられます。また、「はやぶさ2」搭載の全ての科学観測機器のデータを総動員してリュウグウ表面を調べると、超高空隙率岩塊と同様の物質の破片がリュウグウ表面に全球的に分布しており、「はやぶさ2」のリュウグウ採取試料にも一部含まれている可能性があることが分かりました。

今回発見した超高空隙率で最も始原的な物質を採取試料から見つけ出せれば、リュウグウ母天体の形成・進化史を明らかにするのみならず、微惑星形成という太陽系形成過程の初期段階を実証することに繋がると期待できます。

リュウグウ上で最も始原的な岩石を発見
図:発見した超高空隙率岩塊(ホットスポット、赤で囲った領域)のTIR画像 (a, b)とONC画像(c, d)。右の画像は左の画像の拡大であり、(d)のONC画像にはホットスポット近傍の岩塊の輪郭を白線で囲っており、これらの岩塊が超高空隙率である可能性がある。(©Sakatani et al., 2021より改変)

本研究成果は地球惑星科学専攻の杉田 精司教授、橘 省吾教授(宇宙惑星科学機構)、岡田 達明准教授(宇宙科学研究所)、諸田 智克准教授、長 勇一郎助教、湯本 航生氏(博士課程1年)が参加しています。

詳細については、以下をご参照ください。

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