東京大学大学院
理学系研究科
地球惑星科学専攻

ウェブマガジン第2号

 地球惑星科学専攻の大学院生は、組織的な若手研究者海外派遣プログラムを利用して、様々な国で海外インターンを行っています。第2回のウェブマガジンでは、2名の留学体験記を紹介したいと思います。



堀田 英之

・ 派遣先国・研究機関:アメリカ合衆国・National Center for Atmospheric Research, High Altitude Observatory
・ 期間:46日間(1回目)+39日間(2回目)
・ 内容・感想等 
 太陽内部の物理を数値シミュレーションによって研究することを目的として、2010年と2011年の二度、アメリカ合衆国コロラド州ボル ダーにあるHigh Altitude Observatory(HAO)のMatthias Rempel博士を訪ねた。一度目の滞在では、大規模な並列計算機を効率的に使いながら太陽内部の熱対流を計算する方法「音速抑制法」を開発し、二度目の 滞在では太陽内部の磁場増幅機構「エクスプロージョン」の研究をおこなった。どちらの研究も、日本では近い分野の研究さえいないため太陽内部研究 の世界的権威であるRempel博士を訪ねたのである。HAOには他にも太陽内部研究の世界的権威であるYuhong Fan博士、Mark Miesch博士、Masumi Dikpati博士らがおり、太陽内部について研究するには最適な環境であった。Rempel博士とはほぼ毎日議論させていただき、数値計算手法、太陽内 部の物理、さらには私の将来の方向性についても相談にのっていただいた。それらの議論は常に興奮に満ちており、日々大きな発見があった。また HAOの近くにはコロラド大学があり、そこにはJuri Toomre教授が率いる太陽内部研究の世界トップグループがある。滞在中はHAOのコロキウム、セミナーなどで発表させていただくとともに、コロラド大 学でセミナー発表させていただき、私の研究について助言をいただいた(添付写真参照)。

 

森岡 優志

・ 派遣先国・研究機関:フランス・IPSL/LOCEAN
・ 期間:65日間
・ 内容・感想等 
 パリでの2ヶ月の研究生活はとても有意義なものであった。言葉や文化の違いで不安な毎日だったが、受入教員のMasson博士やTerray博士の温かい指導のおかげで乗り越えることができた(写真1)。滞在中は、アフリカ南部の降水に影響をもたらす南大西洋と南インド洋の海面水温変動現象「亜熱帯ダイポールモード」について研究を行った。Masson研究室が開発に携わっている大気海洋結合モデルSINTEXの結果を用いて、亜熱帯ダイポールモードの成長メカニズムを明らかにすることができた。毎週のように解析結果について三人で議論を行い、すぐに研究に反映できたことが短期間での成果につながった。私のために時間を作ってくれた二人に感謝の言葉を申し上げたい。
 一方で、将来を担う同世代の学生たちと研究やそれ以外の面で楽しい時間を過ごすことができた。毎週のように、ビールを片手にそれぞれの研究や生活について語り合った(写真2)。日本人に比べて議論を好むフランス人の気質が心地よく感じられた。わずかな滞在ではあったが、インターンシップを通して得られた経験は、将来の自分の研究に間違いなく影響するだろう。学位を取得した後には、再びパリで研究できればと願い、今後も努力を続けたい。

写真1. 受入教員のMasson博士(右)とTerray博士(左)

写真2. インターン先の学生との交流