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研究紹介 2009年5月
岩上 直幹 (宇宙惑星科学グループ)

現在、「金星光学探査」と「大気の極光応答」という2つの分野で研究を行なっている。

前者は宇宙科学研究所を中心に進められている金星探査計画の一部で、2010年の打ち上げを目指している(図)。探査の主目的は数十年来の謎である「大気超自転」の生成機構の解明にある。固体部分にくらべ 60倍も速く自転する大気への運動量くみ上げ機構を、雲の連続撮像から大気力学パラメタを導出することにより検討する。私の担当は1μm赤外カメラで、昼は金星雲中の高度50 km付近の風を、夜は金星地表の射出係数のムラを見ることができる。厚い雲のため、雲下にあるはずの超自転加速域は、近年まで見えないとされてきたが、1990年頃から近赤外域に雲下を覗ける窓波長域が発見され、以上のような研究手法が可能となった。
また、ハワイ・マウナケア山頂などにある望遠鏡を用いて、金星大気の分光観測を行い、HCl・COなど重要微量成分の半球分布を観測し、それらを制御する化学・力学過程を研究している。

後者は極光現象に伴うエネルギー流入に対して、大気が化学・力学的にどう応答するかという問題を実験的に検討ようとするもので、2009年1月にはノルウェーのアンドーヤ実験場から大気温度・密度計をロケットに搭載して打ち上げるとともに発光雲を放出し、極光に伴う密度・気温・風の場の変化を観測した。

図.探査機PLANET-C

図.2010年末、金星周回軌道投入予定の探査機PLANET-C