5つの研究グループ

地球惑星科学専攻では、5つの研究グループにわかれて研究・教育を行っています。
ここでは、それぞれのグループの研究分野について紹介します。

学生の声

 大学院進学と現在の研究活動
  中坂 有希 (宇宙科学研究所 太陽系プラズマ研究系 中村正人研究室 )

 

大学院進学まで
神戸大学では4年生から「宇宙科学」研究室という、ブラックホール周辺や原始太陽系などの流体に関する数値計算を行う研究室に所属していました。大学院に進学して修士課程終了後に就職するつもりでいましたが、神戸大の院に進学するべきか外部の大学院に進学するべきかについては非常に悩みました。4年生から1年間ではあるけれども基礎を勉強した分野でさらに研究を進めるか、それとも全く異なる分野(といっても宇宙惑星という分野には変わりありませんが)に進学して一から勉強・研究していくか。最終的に私は東大の大学院に進学することに決め、「やりたいこと」であった探査機の開発、特に光学系の観測器を開発している研究室に所属できることになりました。

大学院入学
大学院に入学してまず行ったことは、実験室の引越しでした。理学部7号館の地下にあった実験室を改装された理学部3号館に移しました。理論系の研究室から実験系に移ってきた私にとっては何もわからないなかでの引越しでしたので、今思えばほとんど役立っていなかったような気がしますが、実験室にどういうものが存在しどういうものが必要かということが良くわかり、非常に勉強になりました。その間、他の研究室の人達は研究をどんどん進めている気がして非常に焦ってしまいましたが…。実験屋さんになるには体力が必要ということを実感しました。

研究室はいくつかの探査計画に関わっていて、放射光施設や大学の実験室で基礎開発的な実験や打ち上げ前の最終的な較正実験等を行っています。放射光施設を利用するときには1~2週間の泊り込みの実験で私にとっては体力的にとても厳しいものですが、長期・短期計画をたてて実験したり期間中ずっと先輩について学んだりと、大学での実験とはまた違って面白いです。

他大学の院に進学して最も良かったことのひとつに、学部時代とはまた違った友人がたくさんできたことが挙げられると思います。友人に限らず多くの先輩・先生方に出会えたことは、非常に大きな組織である東大の大学院に進学したからこそ得られたものだと思います。

修士論文について
修士論文では、SS-520-2号機ロケットに搭載した極端紫外光センサーXUVのデータの解析を行いました。入学時に決まっていた修士論文のテーマは予定していた衛星データの到着が遅れたため、修士2年になった段階でXUVのデータ解析へとテーマを変更しました。この修論テーマの変更は当時深く考えていませんでしたが、今考えると研究対象の変更というとても大きなものだった気がします。

私はXUVの開発には関わっていませんが、所属する研究室で開発したものです。1980~90年代に水素イオン・ヘリウムイオンとともに酸素イオンが極域電離圏から宇宙空間へと散逸していることが極軌道衛星のin-situ観測によりわかりました。SS-520-2号機ロケットはその極域からのイオン散逸のメカニズムの解明を目的としたもので、XUVは極域から散逸する酸素イオンからの散乱光を観測できるように開発された観測器です。
高度800?q以下の電離圏での主要なイオンは酸素イオンであり、電離圏では酸素イオンの散乱光を利用した観測が1960年代から行われていました。しかし、極域から散逸する酸素イオンからの散乱光は光量が非常に少なく、また近接波長に非常に強い輝線が存在するために分離が困難で、これまで観測は行われていませんでした。XUVは散逸酸素イオンからの散乱光を観測できるように設計・開発されました。私の修士論文では極域電離圏における極端紫外領域の光の散乱をシミュレーションすることによって、XUVの性能確認を行いました。その結果XUVは有効な観測を行っていたことがわかりました。

 


Fig.1 SS-520-2号機ロケットの内部 XUVは一番上に設置されている。


Fig.2 極域電離圏における酸素イオン共鳴散乱光(波長83.4 nm)の多重散乱の様子


Fig.3 XUVの観測値と計算値を比較したもの。
赤(観測値)と水色(計算値)がよく一致し、XUVは有効な観測を行っていたことがわかった。

 

宇宙科学研究所について
私は修士課程を3年かけて修了しましたが、修士2年目が終わってもう一年修士課程をやることが決まったとき、指導教官が宇宙科学研究所に移ることが決まり、研究室も実験室ごと理学部3号館から宇宙科学研究所へと引っ越しました。(2度目の引越しは1度目を上回る大変さでした。本当に体力が必要です。)

宇宙研は大学とはまた違った雰囲気を持っています。宇宙研では、自分が所属している研究室が関わっている探査計画だけでなく他にも多くの計画が進行しているということが実感できます。大学では院生は学生として扱われますが、院生も研究者の一人として扱われているように感じました。大学で行われていたような異なる分野の人も参加するセミナーはありませんでしたが、同じ研究室の人以外にも同じ分野を研究している人が多くいるため、より専門的な研究が行えるのだと思います。大学と比較すると学生数は少ないです。私の場合は大学と研究所の両方に所属して多くの方々と知り合うことがで、きとても幸運だったと思います。

最後に、外部から東大地球惑星科学専攻への進学を考えている人へ
内部から進学した人と外部から入学した人では入学時の知識も与えられた情報量も違い戸惑うことも多くありますが、入学後に努力することで解決できるものだと思います。それよりも、多くの人・先輩・先生方に出会えることなど、得られるものは非常にたくさんあります。もし迷っている人がいるのなら、挑戦してみることを私はおすすめします。