5つの研究グループ

地球惑星科学専攻では、5つの研究グループにわかれて研究・教育を行っています。
ここでは、それぞれのグループの研究分野について紹介します。

学生の声

 大学院生活と修士論文研究
  平井 健一 (宇宙惑星科学講座 比屋根研究室 博士1年)

 

大学院入学まで
大学4年生の8月に入学試験があり、合格発表後面接がありました。面接といっても堅苦しいものではなく、大学院入学後に所属する研究室を決めるためのガイダンスといった趣のものです。その時明確に研究テーマが決まっている人は少ないと思います(自分もそうでした)。ただし、漠然と実験がしたいとか、観測がしたいとかといった方法についてや、地球の内部構造を知りたいとか、太陽系の成り立ちが知りたいとかといった興味のポイントはあるかと思います。そのような漠然とした自分の希望から、面接官の教官達が適切と思われる研究室をいくつか教えてくれます。9月?10月頃にそこで教えてもらった研究室を個別に訪問して研究室の雰囲気や実際の研究内容から研究室を一つに絞ります。私は、自分でサンプルを調べ、データを出してそれに基づいて議論をくみたてるといった手法がおもしろいと思っていたのと、太陽系初期の頃の歴史に興味があったことから、主に隕石サンプルの同位体分析を行っている現在所属している比屋根研究室に行くことを決めました。

大学入学後
修士課程に入学して制約としてやらなくてはならないことは二つあります。まずは授業にでて規定の単位数を獲得すること、そして二年間で修士論文を書き上げることです。当然大事なのは後者です。はっきり言って授業は大学時代に比べて負担はありません。必要な単位数も多くはありませんし、実験や演習で長い時間をとられることもありません。自分の興味のある順にいくつか履修すればおそらく一年間で必要な単位はすべて集まってしまうでしょう。私の場合は授業はだいたい一日一コマという感じで取っていました。

ではそれ以外の時間は何をするのか?まずは学生や教官が各自の研究内容を発表するゼミに出席します。私の場合は週一回でした。また、それ以外では測定に必要な装置の動かし方を覚えたり、研究のバックグラウンドを知るために英語の論文を読んだりして一日を過ごします。研究はかなり専門的なものであるため必要な文献は英語であることがほとんどで、最初の内は内容を理解するのにとても苦労します(今も苦労していますが...)。そうやって勉強しつつ、また指導教官の先生とも相談して研究テーマを決めていきます。私の場合はだいたいのテーマが決まって自分で分析装置を使い始めたのは一年生の夏くらいだったでしょうか。

自分の研究がある程度進んだらゼミの発表担当が自分にも回ってきます。はっきり言って最初は憂鬱なものでした。自分の研究テーマをよく知らない人に対して分かりやすく話す必要があるのに、自分もまだ駆け出しなので研究のバックグラウンドを完璧に理解しているはずはありません。ゼミではたたかれ、へこまされますが、いくつかのアイデアが提供されることもあり、研究を進めていく上で非常に有益なものになることは間違えありません。

研究→ゼミ発表ときてさらなるステップアップの段階が学会発表です。学会とは各大学の研究者が集まって各自の研究成果を発表する場所です。修士課程の間に一回はそのような機会があるのが普通です。学会発表は修士論文以外では修士課程でのハイライトであると言えるものではないかと思います。私の場合、最も印象深いのは一年の終わりにアメリカで学会発表を行ったことです。そこではポスター発表(研究内容をまとめたポスターを貼って説明するという形式)を行いました。つたない英語で一生懸命自分の研究を説明しました。つたなすぎて説明途中で帰ってしまう人もいましたが、中には興味を持ってくれてたくさん質問をして来る人もいてうれしかった記憶があります。

このように授業、ゼミ、実験、論文読み、学会発表などをこなしつつ研究を深めていって最後に修士論文としてまとめます。ここまで書いて読んでみるとなんだがすごく忙しそうですが、そうでもありません。ゼミ発表前などは土日返上、大学宿泊レベルの忙しさになることもありますが、基本的に授業等の拘束時間は少ないので自分の時間を作ることは容易です。スポーツ、バイト、飲み会、旅行などなどの時間は十分とれると思います。

最後に私が行ってきた研究について簡単に紹介します。修士論文のテーマは「SIMSを用いた酸素同位体、マグネシウム同位体分析によるCAIの変成過程についての研究」というものです。CAIというのは隕石の中に存在する物質の一つで太陽系固体物質の中で最も古いもので、およそ45.6億年前に作られたことが分かっています。図1の白い部分がCAIです。このCAIの成分を調べたりすることでCAIが作られた当時の環境を知ることが出来ます。私は特にSIMSという質量分析計(図2)を使って酸素やマグネシウムの同位体比を分析する事で太陽系初期にいったい何があったのかを隕石中のCAIから読みとろうという試みを修士課程でやってきました。

ここまで長々書いてきましたが、一番大切なのは自分でおもしろいと思った研究をすることだと思います。有意義な大学院生活を送るために、研究室を選ぶ際は少しでも研究のバックグラウンドを勉強して実際に教官や所属している学生と話をたくさんしてみることだと思います。

図1.アエンデ隕石。

図2.分析に用いたSIMS(2次イオン質量分析器)。