5つの研究グループ

地球惑星科学専攻では、5つの研究グループにわかれて研究・教育を行っています。
ここでは、それぞれのグループの研究分野について紹介します。

学生の声

なぜ磁場のある世界が魅力的に思えたか?
東森 一晃(宇宙惑星科学講座・博士2年)

 

私は地球惑星科学専攻の宇宙惑星講座に属しており、宇宙プラズマ物理が専門です。私の研究紹介は少なめにして、なぜ自分がこの分野に興味を持ち始めたかを簡単に紹介することで、少しでも進路選択などの参考になればと思います。

 

私は学部 3 年生後半辺りからこの分野に興味を持ち始めました。実はそれまで、それほど宇宙に興味がありませんでした。星の命が終わるとき、質量が太陽質量のこれこれ以上だとブラックホール、これくらいだと中性子星になるのか、ふむ ふむ、といった具合に表面的な知識だけ寄せ集めて納得した気になっている程度で、きちんと自分で考えることをしていませんでした。
Newton 雑誌などに載っている超新星残骸の綺麗な絵を眺めたりしていたので、興味はあったのですが、なにかわかった気にはなれず、どこかモヤモヤして、憧れ半分の遠い目で見ていました。

 

じゃあなんでこの分野に進んだんだ、と言われてしまいますが、一言でいうと、何もない空(カラ)だと思っていた場所に、実はいろんな物理現象があることを知ったからです。
しかもそれは、自分たちからそれほど遠い世界の出来事ではなかったという点が、より大きな驚きでした。

 

例えば地球と太陽の間は真空ではなく、太陽から絶えず流れ出ているプラズマ(主にイオンと 電子からなる電離ガス)で満たされています。プラズマは荷電粒子で構成されているので、電場や磁場に大きく影響を受けます。一例として、太陽から吹くプラズマ(太陽風)は地球が作る磁場にぶち当たって衝撃波を形成します。 衝撃波一つとってみても、興味をもって調べて見るとさらに興味深い点に行き当たります。
例えば地上(空気中)では、何か揺らぎがあったとして、その情報伝達はミクロなスケールでは分子同士の衝突によって担われます。これは 22.4 リットル中にアボガドロ数個もの粒子があるので直感的に納得できます。
その典型的な伝搬速度が音速で、流れが音速を超えるとゆらぎの情報が上流に伝搬できずに衝撃波を形成します。そして上流からやってくる流れのエネルギーは、粒子間の衝突によって熱エネルギーに変換されます。
一方宇宙空間ではどうかというと、粒子(荷電粒子)同士の衝突はほとんど起こりません。例えば、地球のまわり(地表から 10 地球半径程度)では粒子衝突のための平均自由行程は、太陽-地球間距離程度になります。そもそも 1 立方センチメートル辺りに含まれる粒子はおよそ 1 個程度なので、衝突が起こるわけがありません。では上流からくるエネルギーをどのように下流の熱エネルギーに変えるんだというところで、電場や磁場の重要性に行き当たります。
結論からいうと、粒子同士は直接相互作用はしませんが、電磁場を介した間接的な「衝突」が起こり、プラズマは加熱・加速されます。

 

これらのことは一見目に見えない現象として、地味に思える人もいるかもしれませんが、同じ物理が色々な天体現象でも働いています。
例えば冒頭であげた超新星残骸も、衝撃波によって加速された電子がシンクロトロン放射(誤解を恐れずいうと、荷電粒子が加速度を受けることで光を出す現象)で光を出していると考えられており、衝撃波 1 つをとってみても様々な場所で重要になります。

 

このような電磁場と荷電粒子が複雑に絡み合った普遍的な物理を理解したい、という思いでプラズマ物理の分野に進みました。
今は、以前まで「遠い目」で見ていた宇宙での様々な現象も、プラズマ物理というツールを使って、より身近な対象として理解できる面白さを日々感じています。

 

図1: 超新星残骸(SN1006) の X 線画像 (Credit: NASA, Chandra)