5つの研究グループ

地球惑星科学専攻では、5つの研究グループにわかれて研究・教育を行っています。
ここでは、それぞれのグループの研究分野について紹介します。

学生の声

他大学から東大地惑に進学して

宮本 千尋(地球生命圏科学講座・博士1年)

 

はじめに

 はじめまして。地球生命圏科学講座・博士課程1年の宮本千尋です(写真1)。私は学部生時代を広島大学で過ごし、修士課程から東京大学で研究をしています。参考になるかは分かりませんが、せっかく機会をいただきましたので、私の研究生活について少し紹介します。最後までお付き合いいただけると幸いです。

筆者

写真1:研究で使用しているエアサンプラーと筆者

 

私の研究について

 私の研究対象は「エアロゾル」という、大気中に浮かぶ小さな粒子です。黄砂や花粉、PM2.5などもエアロゾルの一種です。この小さな粒子が健康や生態、気候などに大きな影響を及ぼします。

 エアロゾルが地球を暖めたり冷やしたりすることで地球の気候変動に影響する効果は、2種類に大別されます。1つはエアロゾルそのものが太陽光を吸収したり、逆に反射して遮ったりして地球を暖めたり冷やしたりする「直接効果」です。もう1つは、吸湿性の高いエアロゾルが、大気中の液滴や水蒸気を取り込んで雲の核となり、できた雲が太陽光を散乱することで太陽光を遮り地球を冷やす「間接的冷却効果」です。私の研究では、エアロゾルを構成する物質(化学種)に着目し、エアロゾルの吸湿性を明確にすることで、間接的冷却効果の詳細解明にアプローチしようとしています。

 中でも、「硫酸塩」はエアロゾルの中でも主要な物質であり、そのほとんどが吸湿性の高い化学種(硫酸アンモニウムなど)として存在しているため、硫酸塩エアロゾルが雲の核となり間接的に地球を冷やすと考えられていました。しかし、この硫酸塩の化学種を、私たちのグループが放射光を使った実験で詳しく調べていくと、吸湿性の低い硫酸カルシウムの存在も無視できないことが分かってきました。これらの化学種の同定は、硫酸エアロゾルによる間接的冷却効果の精密評価に重要な貢献をすると考えられます。

 

東大地惑への進学の動機と院試対策

 学部生時代を過ごした広島大学で、現在もご指導いただいている高橋嘉夫先生に出会い、学部3年生の時から先生の元で研究活動を開始しました。しかし、私が学部4年生の前期に高橋先生が東大地惑に異動されてしまいましたので、先生を追いかけるべく東大地惑への進学を決めました。

 院試対策はとにかく過去問を解きまくりました。地球科学と数学、物理の力学と熱力学、化学は無機化学の問題だけを10年分、2~3回繰り返し解きました。1回目は全然解けなかったので教科書や授業ノート、ネットの情報を参考に解答を一通り作り、2回目は自力で解いてみて、3回目は2回目で解けなかった問題だけ(ほぼ全問残っていましたが)を解き直す、という具合です。よくある受験勉強の方法ですね。英語も問題集を1冊買って繰り返し解きました。部活動やサークルをやっている方は最後の夏で勉強どころではないかもしれません。私も部活(ラクロス部でした)があったのでなかなか大変でしたが、メリハリをつけて取り組めば、十分両立できるものだと思います。どちらも悔いなく最高の結果を得て終えることができるよう、早めの対策をおすすめします。

 

日々の研究生活

 私が所属する実験室では、学内での普段の室内実験に加え、学外での放射光施設での実験も積極的に行っており、つくばにある高エネルギー加速器研究機構(KEK)や兵庫にあるSPring-8で実験しています。修士1年の冬には、アメリカの放射光実験施設(写真2)に行って実験をしてきました。また、エアロゾルのサンプルを取りに行ったり、共同研究を行っている他大学に出かけたりすることもあります。

ALS

写真2:広すぎて施設内で迷子寸前に陥った、アメリカの放射光実験施設・Advanced Light Source

 

その他、週に2~3回セミナーに参加しています。セミナーでは活発な議論が交わされるため、とても勉強になります。さらに、年に数回国内外の学会に参加し研究発表を行っています。このように、大学院生になったら学部生のときに経験できなかった様々なことを経験できると思います。東大地惑は、多様な分野を専門とする方が在籍しており、また、様々な研究機器が揃っているので、とても研究しやすい環境だと思います。

 ちなみに授業もあります。研究に授業にと少し慌ただしく、慣れるまでは大変かもしれませんが、自分のペースが掴めれば問題ないと思います。

 

研究生活、番外編

 研究生活においては、時には息抜きも大切です。研究室の同期Kちゃんとは「今日頑張ったから!」というよくある言い訳を唱えながら、時々(ほぼ毎日?)一緒におやつタイムを楽しんでいます。他の研究室のメンバーも各々、毎日真剣に研究に取り組んでいますが、なんでもない話で盛り上がったり、学期末に飲み会をしたり、時々ソフトボール大会を開催したりもしています。最近、うちの研究室では韓国人研究員さんによる韓国語講座が一部で流行っています。このように、和気藹々とした研究室の雰囲気は、とても大事だと思います。楽しく研究を続けることができるのも、先生や研究室のメンバーのおかげです。

 また、地球生命圏科学講座の同期はとても仲が良く、廊下で会った時に交わす他愛もない会話、時々開催される飲み会やBBQといったイベントがとてもよい息抜きになっていました(写真3)。分野やテーマはバラバラですが、それぞれ目標に向かってがんばる同期の存在はとても心強く、私がこの専攻・講座に進学してよかった思える理由のひとつです。ぜひ、研究室以外のつながりも大切にしてみてください。

 同期

写真3:個性豊かな地球生命圏科学講座の同期との一枚

 

おわりに

 学部時代を過ごした大学でも、環境にも人にも恵まれ、とても過ごしやすく、当時の研究生活もとても楽しかったです。もちろん、そのまま進学するという選択肢もありました。しかし、結果的に私は東大地惑に進学してよかったと思っています。多様なバックグラウンドをもつ人が集まり、様々な分野の研究が活発に進められており、他の大学や研究機関の方々も多く出入りするこの環境は、たくさんの刺激を与えてくれています。

 数年前までは上京することも、博士課程に進学することもまるで想像していませんでしたが、この専攻に進学したことでたくさんの人と出会い、多くのことを学び、とても充実した毎日を過ごすことができています。これから進学する皆さんにとっても、きっと多くの刺激やチャンスを与えてくれる場所となるはずです。もしこの専攻や講座、私たちの研究室に興味があれば、ぜひ気軽に遊びに来てください。気さくなメンバーが研究内容について話してくれたり、実験室を案内してくれたりすると思います。他の講座・研究室でも、先生と連絡を取って足を運んでみると、きっと色々と教えてくれるはずですよ。

 皆さんと一緒に研究に取り組める日を楽しみにしております。