5つの研究グループ

地球惑星科学専攻では、5つの研究グループにわかれて研究・教育を行っています。
ここでは、それぞれのグループの研究分野について紹介します。

学生の声

 惑星科学へのアプローチ
  鈴木 絢子 (地震研究所 博士1年)

 

私の研究紹介
 火星には、月などの他の天体とは異なる形状のクレーターが多く見られ、ランパートクレーター (Rampart crater) と呼ばれています。ランパートクレーターの一番の特徴は、不思議な形状のエジェクタ(ejecta: クレーター孔から飛び出した物質が、クレーターの周囲に堆積したもの)です(図1)。エジェクタがクレーターから遠ざかるにつれて薄くなるのではなく、終端が土手のように盛り上がっており、まるでエジェクタ全体を取り囲む城壁のように見えます。これまでの研究で、ランパートクレーターのエジェクタは空中を飛んでいって堆積したのではなく、地表面を流れて堆積したために、このような地形ができたということまではわかっています。しかし、流れが形成される原因や物理プロセスなどについては、多くの研究者によって議論が続けられています。
 私は、ランパートクレーターでエジェクタの流れを形成した物理プロセスに興味を持って研究しています。火星の地表の画像や、高度データはNASA(アメリカ航空宇宙局)やESA(欧州宇宙機構)の衛星が取得してきたものが全世界に公開されていますので、それを使ってランパートクレーターの大きさ・形状・存在緯度経度などを調べています。また、水槽の中にガラスビーズ(火星表面の砂に見立てたもの)と水(火星の大気に見立てたもの)を入れ、クレーター形成時にどのような現象が起こったのかを模擬するアナログ実験も行っています。このように、データ解析と室内実験の両面から、ランパートクレーターの形成過程の謎に取り組んでいます。
 ランパートクレーターの形成過程が明らかになると、過去の火星にどの程度水や大気があったのかを推測するための制約条件が一つ増えます。さらに大きな謎、例えば、太陽系がどのようにしてできたのかということなどを理解するためにも、惑星表面の地形などを調べたり、その形成プロセスを明らかにしたりすることは重要です。


図1(左)月のクレーター。白く光っているところがエジェクタ。 (右)火星のクレーター(ランパートクレーター)。エジェクタは終端が土手のようになっている。
USGS Map-A-Planet より。

研究のススメ
 この2年間、私自身が観察した結果、研究室には大きく分けて2つのタイプがあると考えるようになりました。1つは、手法でまとまっている研究室。高価で必要不可欠な機器(例えば分析のための分析器・衝突実験のための衝突銃など)・特定の実験をするノウハウなどがあり、それらを使う研究をしたい人が集まっている研究室です。もう1つは、対象でまとまっている研究室。研究対象といっても、火星・火山という実際のモノや、マントル対流・流動といったプロセスまで、様々です。もちろん、各人の研究は、ある対象をある手法で明らかにするといったように、“対象”と“手法”の両方があって成り立つものですし、対象によっては手法が限定されてしまう研究もあるでしょう。しかし、研究室を選ぶ際には、自分が一番興味を持っているのは“何”なのか、“対象”なのか“手法”なのかをしっかり考えておいた方が良いと思います。
 私の所属している研究室は、2つのグループから成っています。1つは『火星』を対象としているグループです。主に衛星から得られた『データの解析』という手法で進められています。もう1つは『流体実験』という手法で研究を行うグループです。こちらは、主に『対流』を研究対象としています。(詳しくは、 研究室ホームページ (AGORA) をご覧下さい。)
 私は、「『惑星』という対象を『実際のデータを扱う』ことで理解したい」と思って現在所属している研究室を選びました。進学後、研究室の仲間と触れ合う中で、流体実験の面白さに惹かれてゆきました。特に、目に見える形で現象を起こせる点、自分で欲しいデータを取れる点が魅力的でした。現在では「『火星』という対象に『流体実験』という手法で迫る」というスタンスで研究をしています。
 「指導教員との相性や研究室の雰囲気を第一に考えて選んだ方が良い」とは、研究室を決めようとしている学生が必ず言われることです。「相性の合わない人と好きな研究をする」より「相性の合う人と好きな研究をする」に越したことはありません。他人を自分好みには変えられませんが、研究内容は自分の意志で(もちろん、強い意志が必要ですが)変えることができます。また、学生の居室は研究室ごとではないので、研究室の枠を超えた付き合いも多くあり、他の研究室の院生と研究についても(研究以外のことも!)話す機会があります。もちろん、直接の指導教員でなくても、研究のお話をして下さったり、議論して下さる場合もあります。ぜひ納得のいくまで悩み、様々な大学院生や教員の話を聞くことをお勧めします。一人でも多くの方が、地球惑星科学に興味を持ち、一緒に研究して下さることを願っています。