研究・プロジェクト紹介

宇宙,太陽系,地球の化学進化
小口 高 (地球惑星システム科学グループ・空間情報科学研究センター)

 

川の濁りは変化しているのか?

唱歌「花」に歌われた明治時代の隅田川の水は,今よりもずっと澄んでいました.それでは,川の水の濁りは最近も変化しているのでしょうか? この問いに答えるために,留学生のシアク君とともに,関東~中部地方の河川における懸濁物質濃度のデジタル・データを処理し,濃度の時間変化を調べました.また,地形,土地利用,人口密度などのデータをGISに入力し,懸濁物質濃度と流域の特性との関係を分析しました.GISを利用することにより,多様な地理情報を統合的に扱うことが可能となりました.特に,流域の範囲の自動抽出と,流域内の地理的諸特性(土地利用の比率など)を効率的に把握する機能は,本研究で重要な役割を果たしました.

 データ解析の結果,最近約20年間において,平水時の懸濁物質濃度が徐々に減少した地点が多く,川の水は概してきれいになっていることが判明しました(図5).この期間には平水時の流量はあまり変化しておらず,懸濁物質濃度は上流域の農地や居住地の比率と正の相関を持つので,農地での土壌侵食や汚染された工業・家庭排水が減ったために,水がきれいになったと考えられます.しかし,非常に急速な都市化があった流域では,土木工事や汚水の排出といった人間活動の急増のために,水の濁りが減らない傾向も認められました(図6).したがって,都市域において健全な河川環境を取り戻すためには,さらなる対策が必要といえます.

国際的な研究室をめざして
Elsevier社が発行している地形学の国際誌Geomorphologyのエディタの一人になっています.研究室のメンバーには,国際的視野での活動が身近に感じられる機会を多く作りたいと考えています.たとえば,毎週の研究室のゼミでは主に英語で発表と議論を行っています. また,メンバー全員がGISを日常的に活用できるように,コンピュータ,ソフトウエア,入出力機器,ネットワークといったインフラの整備にも力を入れています.

研究室のホームページ: http://ogu.csis.u-tokyo.ac.jp