5つの研究グループ

地球惑星科学専攻では、5つの研究グループにわかれて研究・教育を行っています。
ここでは、それぞれのグループの研究分野について紹介します。

学生の声

 大学院受験体験記
  阿久津 克枝 (地球惑星システム科学講座 田近研究室 修士1年)

 

はじめに
私は日本大学理工学部物理学科から、東京大学地球惑星科学専攻地球惑星システム科学講座に進学してきました。
その際に大学院受験と就職活動両方を行いましたが、両立させた体験記というものがネット上であまり見られないので、ごく個人的なものではありますが私の現在に至るまでの過程を紹介することで、東大に限らず外部の理系大学院への進学を検討している皆さんの参考になれば幸いです。

右往左往
進学を具体的に考え出したのは学部3年の春でした。浪人していたので、現役合格した友達は皆就職活動や受験勉強に勤しんでおり、彼らに感化されて意識するようになったと思います。
もともと、天文か地球科学をやりたいと思っていて、もし大学院に進学するときには天文と地球科学どちらにでも進学できるようにという気持もあって物理学科を選んだのですが、2年ちょっと物理を勉強する中で自分の興味が明確になっていき、地球科学分野の大学院を受験したいと考えました。とはいえ具体的な研究内容のプランがあったわけではなく、ただ漠然と生命の起源や地球の歴史といったものに面白みを感じて、それを理論的手法で研究している研究室があれば進学したいなぁ…といったような、本当にうやむやな考えです。

そこでまずは先に受験した人の意見を聞こう!と思い立ち、他大受験をして進学する友達に意見を聞いて回りました。そこで分かったことは、大学院の受験には様々なスタイルがあるということです。ようするに参考になる意見を聞けなかったのです。
大学受験ならば、センター試験を受け、その後2次試験を受けたり面接があったりと、入学までのフローチャートが明確で、ほとんどの人がそのフェーズに従い受験をします。それに引き換え大学院受験というのは「良く分からない」のです。例えば自分の指導教官の懇意にしている他大の先生のもとへ移る人もいますし、たまたま自分の大学へ来て講義を持っている他大の先生と仲良くなり進学を打診されたという人もいます。夏にペーパー試験と面接がある、というのは分かりますが、それへ向けての勉強方法や事前準備に関する情報量が少なく、分野によって受験方法も異なるので、本当に困りました。(研究室によってはペーパー試験の受験科目をあらかじめ指定しているところもあります。)とりあえず研究室訪問をするにしても、いつ行けばいいのか、コンタクトはどうやって取れば良いのか、事前に用意するものは何か、何を着て行けば良いのか…分からないことだらけです。そして研究室訪問一つとっても千差万別、学部2年生のときから通い詰めている人もいれば、スーツに菓子折り持って行った人、冬休みにコンタクトを取ったら先生が海外出張で居なくて結局訪問できなかった人…。様々です。

私は結局、学部3年の9月にいくつかの研究室を訪問しました。実はある友達から「研究室訪問は普通学部3年の夏までには済ませるもの」という意見を聞いて慌てて行ったのですが、東大地惑的には早すぎる訪問だったようです。けれどフライングしたお陰でじっくり話を聞くことができ、また人より早めに入試に向けて動き始めることができたので、結果としては良かったと思います。後述しますが就職活動も検討されてる人は学部3年の間に研究室訪問することをお勧めします。

研究室訪問のすすめ
漠然と進学を考え出したなら、研究室訪問をしましょう。 インターネットや大学の学生課で調べたり、先生や先輩などから話を聞き、受験したい大学院や興味の持てる研究室をピックアップしていきます。近場の大学ならば、シンポジウムやセミナーに参加するのも手です。終わったあとに直接先生を捕まえて話を聞くことができます。学部3年生の段階では、私は全6大学院11専攻をピックアップしていました。最終的には東京大学地球惑星科学専攻の地球惑星システム科学講座のみ単願で受験したのですが、まあ最初は大学院ごと専攻ごとの違いなど分からないし、かなりの数がリストに上ると思います。

そうしたらまずはメールででも連絡を取りましょう。内容は、自分の現在の所属・進学を考えていること・おおまかな希望(生命の起源に興味があるとか、パソコンを使った何かが良いとか、私は本当に恥ずかしいくらい漠然としたことばかり書きました)・将来の展望(就職を考えているとか、合格したら博士課程まで行きたいとか、自分が進学してどうしたいか書きました)あたりを書けば良いと思います。テンプレートを作っておいて、宛先だけ変えて送ってしまって大丈夫です。同じ大学院の先生2人以上にメールするときは、「○○先生にも同様のメールを送っています」と一言付け加えておくと親切かもしれません。時期はいつでも良いのですが、フィールドワークなどで長期不在が予想される先生には早めにコンタクトを取るほうが良いでしょう。受験する年の春休みなどにコンタクトを取ると、人気のある研究室では学部4年生の訪問希望者が殺到しているのでグループ面談になってしまい、聞きたいことを十分に聞けない可能性もあります。受験する年の5月~7月になると入試説明会が始まります。そうなると研究室訪問自体を受け付けない研究室も出てきます。(入試説明会に出てください、と言われます)

必ず受かりたいのであれば、研究室訪問はした方が良いです。訪問してこない学生を取らない研究室もあります。それにもしボーダーラインに2人学生がいて、どちらか一人しか研究室に配属されない場合、訪問に来た学生と来なかった学生ではどちらが有利だと思いますか?これを読んでいる時点でまだ入試まで時間のある人は、是非興味のある研究室に片っ端からコンタクトを取ってみてください。時間のない人は配属を希望する研究室だけでもコンタクトを取ってみてください。メールだけでも良いですし、実際に会って話せるならそれがベストです。必ずしも進学先の研究室でなくて大丈夫です。受験する前に明確に研究の方向性や手法が固まっている人は居ないのですから、研究室訪問は「方針を決めるための相談」と位置付けてください。訪問した研究室を最終的に希望しなかったからと言って、気まずくなったり受験で不利になることはありません。進学するか就職するか悩んでいても、理論なのか実験なのか決まっていなくても、とにかく研究室訪問をしましょう。経済系はスーツに名刺が基本のようですが、理工系大学院ならばスーツで行く必要はありません。

先生と実際に話す中で自分の興味の方向性も定まってきますし、本当に自分は進学したいのかどうかも分かると思います。事前に質問したいことをメモにまとめていけば、緊張していても効率良く話すことができます。受験のこと将来のこと以外にも、研究室ではどのような学生が来て欲しいと思っているか、どのような学生が入学後に伸びるのか、先生自身に退官・転出の予定はないか…そういったことを確認すると良いかもしれません。早めに訪問すれば先生が自分の指導する学生さんを紹介してくれることもあります。その研究室に実際に配属されている学生さんから聞く話はとても有意義です。研究室の雰囲気や、指導教官の性格、指導方法、はたまた受験に役立つ参考書や将来の悩みなど、先生に聞きにくい話や学生さんでないと分からない話もどんどん教えて貰いましょう。

研究室を決めてから訪問するのではなく、漠然としているからこそ訪問し意見を聞くことが大切です。少なくともこれから2年間お世話になる研究室ですから、後悔のないようにしたいものです。ちなみに私の場合、現在所属している田近研の研究対象であるスノーボールアース現象に魅かれて訪問したのですが、研究内容に興味が持てること以外での研究室の決定要因は、少人数であることと、理論的手法だけでなくフィールドワークや分析に触れる機会もあるということでした。まず少人数の研究室のほうが先生と1対1で連絡を取り合う機会を作りやすいので、私には合っていると思いました。これは本当に人の好みによりますが、自分で好きな研究を黙々とやりたいのなら逆に人数の多い研究室のほうが干渉されにくくて良いのかもしれません。私は何事も指導教官と密に連絡を取り合いながら研究を進めていきたいタイプの人間なので、少人数であることは結構重要な要因でした。

それから手法ですが、大学院の研究室というのは手法ごとに分かれていると言っても過言ではありません。理論や実験、フィールドワークに分析…とそれぞれ分かれています。私は理論的手法に一番関心があったのですが、フィールドワークは未体験だったので、体験しないままデータだけ貰って研究するというのは何となく気持ちが悪いと感じ、他の手法にもアプローチできる研究室ということで田近研を選びました。これはシステム講座全体の理念でもあるのですが、地球を複雑な多くのサブシステムから成るひとつのシステムとして捉えるためには、自分の専門だけ強くてもダメで、周囲のことにもアンテナをしっかり張っていられるようにするのがベストです。そう言った意味でも、入学した後に手法を選べる研究室というのは魅力的でした。田近研も参加している表層セミナーも、そのような手法の枠を超えた研究や指導をしています。興味のある方は表層セミナーのホームページをご覧ください。

進学か就職か
私の居た日大理工物理では4月に内部推薦のためのテストがあったので、その勉強もかねて学部3年3月あたりから受験勉強を始めました。とはいえ推薦を受けると必ず進学しなければならないので、実力テスト代わりに受験だけして推薦は受けませんでした。他の大学ではどうか分かりませんが、もし同じようなことが出来るのであれば良い腕慣らしになりますし、モチベーションの維持にも最適ですので推薦試験や一般試験を利用してみましょう。ただし一般試験は受験料がかかります。自分の大学を抑え校として他大を受験する場合以外は特に受ける必要はありません。

四月を過ぎ他大受験が現実のものとして差し迫ってくると、誰しも考えるのは「全部落ちたらどうしよう」ということだと思います。全て落ちても自分の大学に進学できる人はともかく、それ以外の人は非常に悩むところです。とはいえ、大学院は大学受験のようにたくさん受けることは避けるべきです。自分のやりたいことが出来ない大学院に無理して行っても仕方ないですし、多くても3校までに留めたほうが勉強もしやすいです。私の周囲で多かった外部受験のスタイルというのは、本命の他大1校+在籍している大学の大学院で合計2校というものでした。

それから就職活動をする人はなるべく単願したほうが良いと思います。私の場合は現在所属している田近研に関心が集中しはじめていたので、他の受験校を無理に決めるよりも、東大に落ちたら就職というほうが分かりやすくて良いと思い就職活動を始めました。実際には5月から6月半ばまでの一か月半で、2社内定を頂きましたが、学部3年生のうちにある程度受験と就職活動の準備が出来ている人以外は就職活動と受験の二股はお勧めできません。私は幸い一社も落ちなかったのですが、受験を控えて就職活動をする中で、決まらなかったり落ち続けたりするのは精神的にきついです。それにやはり周囲は就職第一希望で活動してる人が殆どですので、受験の抑え程度の気持では挫折します。それに就職活動期間はなかなか受験勉強もできません。それに内々定を貰ったあとも、懇親会などに呼ばれる機会が度々あります。自立した社会人としての道を目の前にするとどうしても迷います。私は内々定を貰ったあとのほうが精神的に辛かったです。それでも両方するのならば、大学院は出来るだけ単願で、就職活動は範囲を絞ってするべきです。

私の就職活動は外資系SE(サーバ関係のみ)に絞り、説明会には7社、実際試験を受けたのは3社で、うち1社は最終面接辞退、2社は内々定でそのうち1社の内定を受諾しましたが、受諾の際に大学院受験することを話しました。必ずしも受諾の際に言う必要はありませんが、内定辞退するときに進学する旨は必ず伝えてください。嘘をついたり内定受諾や内定辞退を無為に引き延ばす行為は、後輩の就職活動に響きます。体はひとつしかないのですから、進学先と就職先両方に良い顔をすることはできません。内定辞退をする時点で自分の心象が悪くなることは仕方のないことだと思ってください。

事前の準備をしっかりしていれば、大学院の受験と就職活動を両立させることは可能です。ただしどちらが第一希望なのか、自分の中でだけは明確にしていてください。大学院が第一希望ならば就職活動はある程度妥協が必要です。例えばマスコミや出版関係、商社のような事前準備が大変で競争率も高く内定までのフェーズが多い会社は避けたほうが良いでしょう。大学院を第一希望に就職活動を行う場合、落ちたら入社する、という意思が重要になってきます。入社する気が最初から希薄なのに活動しても面接官にはお見通しですし、行く気がないと思いながら口先だけで「御社に入社したい」と言い続けるのは後ろめたいと思います。嘘はばれるものと思って行動してください。嘘をつかないようにするには、「余計なことは言わない」ことです。受験の話題に触れそうなことに関しては自分から話題を振らない、聞かれたことだけ答える、ということを徹底すれば大丈夫です。姑息な手段のようですが、「余計なことは言わない」というのは何事に関しても大切なことだと思います。それから教職と公務員試験ですが、こちらも事前準備次第だと思います。私自身には経験がないので分かりませんが、やはり自分の目的をはっきりさせておくことが重要です。

受験勉強
学部3年9月から研究室訪問をし、希望する研究室の先輩方から話を聞き受験勉強をしていく中で思ったことを書きます。ちなみに本格的な受験のための勉強は直前1か月で集中して行いました。

・英語は重要(特に読解力、英作文。TOEFLやTOEICを課せられている場合もあるので注意)
・科目別重点分野の有無(例えば東大地惑で物理選択で受験した場合、統計力学や量子力学は必ずしも重要ではなく、熱学や流体力学のほうが大切です)
・過去問の重要性(ホームページ上で入手できます)

早めに準備するに越したことはありませんが、とにかく今まで大学で学んできたことをしっかり身につけることが大事です。私のように他学科から受験する場合は、これから必要になるけれど今は良く勉強していない分野(私の場合は地球科学)に手をつけるよりも、今まで大学で学んできたことの基礎を固めておく(私の場合は物理)ほうが有利に働きます。大学院専門の予備校もありますが理系大学院の場合は通う必要性はありません。研究室訪問の際に受験勉強の方法もついでに聞いて、学生さんから紹介して貰った参考書などがあればそれをやり、過去問を解いていればまず大丈夫です。

さいごに
私は幸い第一希望の研究室で院生生活を始めることができました。
周囲と比べてもユニークで欲張りな受験をしたと思いますが、就職活動も受験勉強も私にとってはかけがえのない経験になり、様々なことを学びました。他大学他学科からの進学でも、就職活動をしていても、自分の目的さえ明確であればなんとかなるものです。

今は約6500万年前のK/T境界における炭素同位体比変動について研究を始めたところです。K/T境界は新生代と中生代の年代境界で、恐竜はこの頃に天体衝突によって絶滅したと考えられています。私は天体衝突前後の海洋中の炭素同位体比変動から、当時の海洋の炭素循環や環境ををモデリングによって復元したいと思っています。悩んで進学しただけの価値のある、とても面白いテーマです。

長い文章を読んでくださってありがとうございました。少しでも悩みを解決するヒントになっていれば嬉しいです。