卵 東京大学理学部地球惑星環境学科
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メンバー紹介: 多田 隆治

所属:地球惑星科学専攻 地球システム科学講座
専門分野: 地球システム変動学、古海洋学、古気候学、堆積学
電話番号:(03)5841-4523
e-mail:
建物・部屋番号:理学部1号館C棟7F階・734号室
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自己紹介
過去の地球環境とその変動メカニズムを知る事は、現在の地球環境を正しく把握し、未来の地球環境を考える上で重要です。私は、この「地球の過去に学ぶ」という視点を重視しています。こうした視点は、野外で自然を観察し、そこに見られる地層や化石が持つ意味を自由な発想で考える事により養われます。そこで私は、自ら野外に出て調査、観察、試料採取を行う事の楽しさやその意義を教える事に力点を置いた教育を行なっています。また、地質試料から過去の環境に関する情報を引き出す為には、必要に応じて地層や化石の形成過程とその制御要因を理解し、その知識を生かして新しい代替指標を生み出す発想が必要です。そこで、地層の堆積や化石形成における素過程の物理、化学的理解を重視した指導を心がけています。地質試料から抽出した過去の環境に関する情報の意味を正しく把握し、地球環境変動のメカニズムを解明してゆく為には、地質試料の分析、分析により得られたデータの解析、解析結果の理論的考察を一貫して行う事が重要です。しかし、こうした一連の作業を全て一人でこなす事は必ずしも容易ではありません。そこで、実際の研究においては、多くの場合、複数の研究者が協力して、たゆまずに議論をしながら研究を進めてゆきます。私は、仲間と協力し、議論しながら、一つの共通した目的に向かって理解を深めてゆく事の大切さを、研究を通じて教えてゆきたいと考えています。

研究のトピック
近未来予測のための古環境学:

人為的CO2放出による地球温暖化が顕在化するにつれて、それに伴う気候・環境変動とその人類の生活への影響への懸念が増しています。実際、既に温暖化の程度は観測記録に残る変動範囲を越え、観測記録ではカバー出来ない領域に入りつつあります。そして、この事が、近未来の地球環境変動の予測を難しくしています。しかし、地球の過去の気候変動の記録を復元し、解析することによって、こうした未知の領域に足を踏み入れつつある地球の近未来の環境変動の規模(振幅)や速度、様式などに関して、有力な手掛かりを得ることが出来ます。
地球環境史を見ると、人類がその環境観を構築した完新世(1万年前以降)は、例外的に環境が安定していた時代でした。しかし、それより前の最終氷期には、より大きな規模(振幅)でかつ急激な環境変動が繰り返し起こっていました。そして、その変動メカニズムの研究は、ある境界条件下で安定な気候モードが複数存在し、ちょっとした擾乱により、一つのモードから別のモードへと短い時には数年以内に気候モードジャンプが起こる事を示唆しています。現在、急激に進行している人為的CO2放出は、擾乱として十分に大きく、こうした気候モードジャンプを引き起こす可能性があります。
私達のグループでは、深海底や湖底から得られた堆積物の解析を基に、間氷期において複数の安定な気候モードが存在し気候モードジャンプが起こった可能性を探求すると共に、そのメカニズムの解明に向けた研究を行なっています。

ヒマラヤーチベットの隆起とアジア・モンスーンの成立:

数十万年より長いタイムスケールでは、固体地球のダイナミクスが、山岳の形成や海峡の開閉、火山活動度の変化や化学風化速度の変化に起因した大気中のCO2濃度変化などを通じて、地球環境を大きく変化させてきたと考えられています。しかし、それらはあくまで仮説に過ぎず、十分な証明がなされている訳ではありません。そうした中で、ユーラシア大陸へのインド亜大陸の衝突とそれに伴うヒマラヤ?チベットの形成は、地球史の中で最も新しい大規模造山運動であり、また、チベット高原の形成によりアジア・モンスーンが強化した可能性が、気候モデルにより具体的に提案されている唯一の事例です。
私は、ヒマラヤ?チベット隆起過程の復元、アジア・モンスーン発達過程の復元、気候モデルによるヒマラヤ?チベット隆起がアジア・モンスーンの発達に及ぼす影響の評価、の研究が三位一体に協力し合う事によって初めて、固体地球のダイナミクスが地球の気候・環境に大きな影響を与えた事を具体的に検証できると考えています。
そこで、私達のグループは、日本海堆積物中に含まれる風成塵に着目し、その起源や堆積速度の復元を通じて、過去500万年以上に渡るアジア内陸部の乾燥化と偏西風経路変化の歴史の復元を計画しています。そしてそのために、日本海深海掘削を提案し、2010年の実現に向けて準備を進めています。また、中国科学技術院や同済大学のグループと協力して、中国内陸部の乾燥域発達やチベット北部の隆起史解明の為の調査を進めています。そして、得られた結果を、国内・国外の古気候モデルグループやヒマラヤ?チベットのテクトニクス復元グループと研究結果と突合せて議論しつつ、研究を進めています。

急激な環境変動を記録する日本海堆積物の縞模様
中国黄土高原調査風景
チベット北西縁での調査風景
学生さんへ一言
地球環境研究においては、野外に出て物を観察し、そこから発想する事は不可欠です。そこには、私達が見逃している重要な問題が数多く存在する筈です。当然の事ながら、そうした問題の答えは自分で探さねばならず、また、答えを得る為の手段も自分で工夫し、開発して行かねばなりません。野外調査を基本とした地球環境科学は、常識に捉われず独創的なアイデアを生み出す創造力、状況に応じて臨機応変に対応出来る柔軟性、うまく行くまでひたすら試行錯誤を繰り返し続ける根気、など多様な能力を必要とする、いわば総合力を要する科学なのです。野外に出て、地球の過去に学びつつ、地球の未来を考えてみませんか?
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